万兵では、海外研修として大きく二つの研修を行っています。ひとつは、ファッションのトレンドの最先端である欧州視察。もうひとつはモノづくりの現場となるアジアでのパートナーである生産工場。企画から生産を理解することは、MDへの重要なステップアップととらえています。
欧州視察 ファッションの空気を感じる
ファッションの“現在”を映し出す街角
「ロンドンについた日は、雨。連休明けの日本に比べれば少し肌寒い。翌日は晴、15度ほどと、少し低いが、街を行きかう人々は、ダウンやトレンチコート姿もいれば、対照的にタンクトップやノースリーブ、Tシャツにデニムやショートパンツといったウエアの人もいて実に様々だ。
オックスフォードサーカスから西は、まっすぐに歩けないほどの人の波で、平日にもかかわらずファッションショップには多くの人々が入っており、商品を手に取っている。
振り返るとベビーカーをひいた主婦や若者から、初老の夫婦までとこちらも実に幅広い層のお客さんで賑わっている。決してこれ見よがしではないのに、店頭のディスプレーやさりげない小物の演出がうまく、雰囲気のある楽しげな売り場が演出されている。ショップごとで個性的なのに、まるで街全体でファッションを楽しむかのような雰囲気で、東京の渋谷とも違う魅力にあふれている。さっそく、ブルゾンとジャケットを手に取った・・・・・」
若い感性でトレンドを感じる
近年では欧州視察に積極的に若手を同行させ、コレクションはもちろんのこと、街角の雰囲気、ショーウィンドウ等、空気感さえ吸収してもらうことで、トレンドを活かした商品づくりはもちろん、スタッフ各々の実力もアップしてほしいとの願いから、この取り組みを始めています。
若手スタッフを、チーフMDに同行させることで、バイヤーとの商談の際にも“自分の言葉・活きた情報”として、自信を持って臨めるなど着実に効果が表れてきています。
アジア研修 モノづくりの危機感を知る
想像以上の活気とレベル
「100人を超える工場では、縫製ラインを含め工場全体に活気があふれている。日本からの技術支援の効果もあり個々の技術力も極めて高く、経済全体の大きさとスピードの一端を垣間見た気がする。
一方で、工場間においての品質管理のレベルには差のあるところもあるのも事実。高い品質が要求される日本向けよりも、納期も余裕があり品質もゆるい国内向けオーダーが増えており、人件費のアップとともに日本のアパレル産業の課題ともなっている」
生産の背景を知ることでステップアップをはかる
生産の現場で起きていることの背景や、要因を理解することで、オーダーの際の納期管理や、より高いレベルでの品質管理に活かされることは言うまでもありません。モノづくりの主役はいつの時代にあっても人です。生産現場との交流を行うことは、国が違ってもお互いを理解し人と人とのコミュニケーションにおいて大切なことです。主に4年目前後から、中国の工場を視察し、生産現場を理解し、現場への指示をスピーディーにそして的確に行うことの重要性を学びます。それもまたMDへの重要なプロセスなのです。